PowerPoint / 数式

PowerPointでLaTeXの数式を使う4つの方法

PowerPointの数式エディタ、IguanaTex、画像の貼り付け、ChatGPTやClaudeから入れるMathPointの4つを、TeX環境の要否、あとからの修正、図・表とWordへの対応で比べます。

更新
2026-10-19
執筆・検証
Fermion Inc.
PowerPointのスライドにTeXで組んだ2変量ガウス分布の3Dグラフと数式が入り、右のMathPoint作業ウィンドウに操作の履歴が並んでいる画面
Claudeに頼んでMathPointで入れたスライド(2026年10月)。グラフはpgfplots、数式はLuaLaTeXで組み、ベクター画像として置かれています。

PowerPointにLaTeXの数式を入れる方法は、大きく分けて4つあります。 PowerPoint標準の数式エディタ、TeXで組んだ結果を置くアドインのIguanaTex、別のツールで作った画像の貼り付け、そしてClaudeやChatGPTに頼んでアドインに入れてもらうMathPointです。 どれを選ぶかは、手元にTeX環境があるか、あとから式を直すか、図や表も入れるかで決まります。

4つの方法の比較

PowerPointでLaTeXの数式を使う方法(2026年10月時点)
方法手元のTeX環境見た目あとからの修正図・表
数式エディタ(標準)不要Officeの数式(Cambria Math)その場で編集できる不可
IguanaTex必要TeXの組版ソースから組み直せるTeXで書けば可
画像を貼る作る側で必要TeXの組版作り直して貼り替え可
MathPoint不要TeXの組版(LuaLaTeX)AIに頼んで組み直すTikZ・pgfplots・tabularray

PowerPointの数式エディタ

「挿入 → 数式」から入れる標準の数式は、Officeの数式として描かれ、そのままクリックして直せます。 Microsoftの説明では、LaTeXの線形形式で入力できるのはMicrosoft 365のWordで、ほかのOfficeアプリはUnicodeMathの線形形式に対応します。 Wordの「数式」タブでLaTeXを選ぶと、次のような入力がOfficeの数式に変換されます。

WordのLaTeX線形形式の入力例
\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}

ただし\begin・\endなどの環境は使えず、出力はTeXの組版ではありません。 TikZの図やLaTeXの表は入れられません。

IguanaTex

IguanaTexは、WindowsとMacのPowerPointで使える無料のアドインです。 手元のTeXディストリビューション(TeX Live、MiKTeX、MacTeX)で式を組み、その結果をスライドに置きます。 元のLaTeXは図形に残るので、あとから開いて組み直せます。

使うには、TeXディストリビューションに加えてGhostscriptなどの準備が必要です。 対応するPowerPointの版や必要なものはOSごとに違うので、GitHubのREADMEで確認してください。

画像として貼る

OverleafやTeXエディタで組んだPDFを切り出し、画像としてスライドに貼る方法です。 どんな式や図でも入りますが、直すたびに組み直して貼り替えることになり、元のソースはスライドに残りません。 PNGで貼ると、拡大したときに輪郭がぼやけます。

AIのチャットから入れる(MathPoint)

MathPointは、ClaudeやChatGPTに頼むと、開いているPowerPointやWordに数式・図・表を入れるアドインです。 組版はMathPointのサーバー(LuaLaTeX)で行うので、手元にTeX環境は要りません。 式はベクター画像として置かれ、元のLaTeXも図形に保存されるため、「色を変えて」「少し大きく」と頼めば同じ位置で組み直されます。

入れ方は、MacならターミナルでPowerPointとWordにアドインを入れるコマンドを1行実行し、PowerPointを開き直して作業ウィンドウからログインします。 Windowsではirm https://mcp.tex64.com/mathpoint/install.ps1 | iexをPowerShellで実行します。

Macのターミナルで実行するコマンド
curl -fsSL https://mcp.tex64.com/mathpoint/install | sh

つないだあとは、たとえば「スライド2に二次方程式の解の公式を入れて」「この表を三線表にして」と頼むだけです。 Wordでは、別行立ての式は中央揃えの段落に、文中の式は本文のベースラインに揃えて入ります。

選び方

  • 簡単な式を、その場で直しながら書く:PowerPointの数式エディタ。WordならLaTeXの線形形式も使えます。
  • 手元にTeX環境があり、オフラインで本物のTeXの組版を使いたい:IguanaTex。
  • 一度きりの図や、すでにPDFで持っている図を置く:画像として貼る。
  • TeX環境を入れずに、式・図・表をまとめて頼みたい、あとから直すのもAIに任せたい:MathPoint。

参照した一次情報

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