Axiom / 実装検証

LaTeX AIが実ファイルからPDFまで検証する工程

回答文では終わらないLaTeX編集について、読み取り、変更、実ビルド、事後確認の順に分解し、Axiomの実装境界と失敗条件を確認します。

更新
2026-08-31
執筆・検証
Fermion Inc.
TeX64でLaTeXソースと組版済みPDFを並べて確認している画面
TeX64のテスト文書を2026年3月9日に撮影。ソースとPDFを同じワークスペースで確認できる実画面であり、AIが内容の正しさを保証する証拠ではありません。

LaTeXの質問に正しいコード片が返っても、既存プロジェクトが完成したことにはならない。 文書クラス、読み込むパッケージ、分割ファイル、参考文献、ビルド対象はすでに決まっている。 AI編集を評価するなら、返答文ではなく、最終的にどのファイルが変わり、どの文書が組まれたかを見る必要がある。

回答と完成物は別の検証対象

Axiomの処理は、プロジェクトを読む段階、ファイルへ変更を書く段階、TeX64のビルド機能でPDFを作る段階に分かれる。 会話上で「修正しました」と書かれていても、書き込みツールが一度も成功していなければ変更済みとして扱わない。 逆に、変更が書かれた後は、モデルが組版を呼び忘れても終了時に決定的な最終ビルドが一度だけ走る。

現行の18個のツールは作業フォルダ内に限定される

2026年8月31日の実装確認では、モデルへ公開されるツールは18個だった。 一般シェルは含まれず、実行中に作業フォルダが切り替わると、すべてのツールが処理を拒否する。 パス解決ではシンボリックリンクをたどった後の実体も確認し、作業フォルダ外への読み書きを許さない。

Axiomで確認したツール群。個々の名称は製品更新で変わる可能性があります。
分類ツール確認できる範囲
読み取りread_file / list_filesUTF-8ファイルと作業フォルダ内の一覧
構造list_sections / read_section / find_math_regionLaTeXの節、概要、数式領域
編集replace_lines / insert_lines / delete_lines / create_file / write_file / apply_patch構造保護と破壊的縮小の防止規則を通した変更
節編集replace_section / append_to_section節見出しを保った本文更新
検証compile_document / get_compile_log選択した文書の実ビルドと絞り込んだログ
資料arxiv_search / arxiv_bibtex / check_environmentarXivメタデータとTeX関連コマンドの利用可否

変更は先に書かれ、差分表示は事後確認になる

現行実装では、Axiomの変更は保護規則を通過した時点でファイルへ書かれる。 画面に出る差分は事前承認ではなく事後確認であり、利用者は「完了」で表示を閉じるか、「元に戻す」で変更を取り消して保存する。 公開説明が事前承認と書いている場合は実装と一致しない。

実装から抽出した状態遷移
read current bytes
→ apply a guarded write
→ record before/after counts and hashes
→ mark the document as needing a build
→ compile the active or explicit root
→ show the applied diff with Done / Undo

compile_documentにルート文書を渡さない場合は、その処理で編集中の.texを対象にする。 作業フォルダ直下に別のmain.texがあっても、入れ子の編集中文書を勝手に置き換えない。 ファイル内にマジックルートの指定がある場合も、その指定を優先する。

実装確認は実際のPDF生成まで通す

2026年8月31日の公開フィクスチャは、作業フォルダ直下の壊れたmain.texではなくdocuments/paper/main.texを選択した。実装のreplace_linesで1行を書き換え、 保存済みバイトを受け取った画面が適用後の差分を表示するところまで記録している。

適用後レビューの公開トレース
段階記録した事実SHA-256 / 結果
選択ルートdocuments/paper/main.tex。直下の壊れたmain.texは不選択初回ビルド成功
書き込みreplace_linesが適用済み・検証済みを返すeb981a… → b9b9ae…
画面の完了差分装飾を閉じ、適用済みバイトを保つ保存後PDF 2ddbfe95…
画面の元に戻すMonacoのUndoを呼び、戻した値を保存するこのボタン自体はビルドしない
実行単位のUndoAgentServiceが元のSHA-256へ復元し、同じ入れ子ルートを再ビルドPDF 1b82480b…

適用差分完了後PDF取り消し後PDFは公開マニフェストのSHA-256で結ばれている。 「完了」は書き込み前の承認ではなく表示を閉じる操作である。画面の「元に戻す」はMonacoのUndo後に保存し、そのハンドラー自体はビルドしない。 JSONトレースの再ビルド付きundoは別の実行単位Undoであり、AgentServiceが元のバイトを復元して同じルートを組み直した記録である。

ローカル編集とオンラインAI処理を分けて考える

プロジェクトファイルの保存、ビルド、PDF表示は端末側にある。 ただしAxiomへ依頼すると、実行に必要な文脈がオンラインサービスへ送られる。 数式OCRの端末内処理とAxiomのモデル処理は同じ経路ではない。現行の取り扱いはプライバシー説明で確認できる。

参照した一次情報

訂正窓口

挙動の変更、再現できない結果、誤記はサポートで受け付けます。

TeX64 Support
関連する公式ページAxiomの公式ドキュメント