PDF/A・アクセシビリティ

基本の PDF を超えて、2 つの目標があります——PDF/A(多くのリポジトリや学会が要求する、完全に自己完結した長期保存用の標準)と、アクセシブルなタグ付き PDF(スクリーンリーダーで読める。標準は PDF/UA)。LaTeX はこれを pdfx パッケージと、tagpdf\DocumentMetadata の仕組みで実現します。

PDF/A — 長期保存の標準

PDF/A は長期保存のための ISO 標準で、すべてが 自己完結 していることを求めます——フォントの完全埋め込み、暗号化なし、XMP メタデータ、そして色の 出力インテント(ICC プロファイル)。リポジトリ・図書館・学位論文の提出で要求されることがよくあります。pdfx パッケージがこれを生成します:\usepackage[a-2b]{pdfx}(ほかに a-1ba-3b)。メタデータは \jobname.xmpdata ファイルから読み、ICC プロファイル(既定は sRGB)を埋め込みます。

latex
% document.tex
\documentclass{article}
\usepackage[a-2b]{pdfx}   % document.xmpdata を読む / reads document.xmpdata

% document.xmpdata(別ファイル)
\Title{論文のタイトル}
\Author{山田 太郎}
\Keywords{LaTeX\sep PDF/A}

適合レベルは、PDF/A-1b(基本・PDF 1.4 ベース)、PDF/A-2b(透過など PDF 1.7 の機能)、-3b(添付ファイル可)。末尾の「b」は 基本(見た目) の適合で、「a」レベルはさらに タグ付け(アクセシビリティ) を要します。印刷向けの兄弟規格が PDF/X です。

アクセシブルな PDF — タグ付きと PDF/UA

タグ付き PDF は、見出し・段落・リスト・読み上げ順序・代替テキストといった 論理構造 を埋め込み、スクリーンリーダー がたどれるようにします。アクセシビリティの標準が PDF/UA(UA-2 は 2024 年に発行)。LaTeX チームの tagpdf パッケージ(Ulrike Fischer 氏)が、pdfLaTeX/LuaTeX 向けにタグ付けの道具(\tagstructbegin などの低レベル命令)を提供します。

モダンな入口 — \DocumentMetadata

最近の LaTeX(2025-06 以降)は、これらを 1 か所に集約しました。\documentclass\DocumentMetadata{...} を置くと PDF 管理層が読み込まれ、自動タグ付けtagging=on)や PDF/A 出力をここから指定できます。LaTeX プロジェクトのタグ付け施策は、自動で PDF/UA-2 / WTPDF 準拠のアクセシブルな PDF を生成する方向に進んでおり、数式の MathML 自動埋め込みも視野に入っています。これからはこの入口が中心になります(インターフェースは発展途上なので最新ドキュメントを確認)。

latex
% \documentclass より前に / before \documentclass
\DocumentMetadata{
  lang=ja,
  pdfstandard=A-2b,
  tagging=on
}
\documentclass{article}

実務メモ

  • 提出先が PDF/A 必須 → pdfxa-1ba-2b)+ \jobname.xmpdata にタイトル・著者を記述。
  • フォントは 完全埋め込み が必須(pdflatex/lualatex は既定で埋め込むが、要確認)。
  • アクセシビリティ(PDF/UA)→ \DocumentMetadatatagpdf(自動タグ付けは発展中)。
  • 適合チェックは veraPDF などの検証ツールで(PDF/A・PDF/UA 準拠を確認)。